問いに答える力

以前、読書をするだけでは、国語の成績に関わる読解力がつくとは限らないという話をさせていただきました。
今回は、読書が国語の成績に繋がりにくいもう一つの理由についても書かせていただきたいと思います。

国語のテストで求められるのは「問いに答える力」です。
テストでは、課題文の内容について様々なことが問われます。そこで求められるのは、問われたことの答えを課題文中から探すこと、または、課題文に書かれていることから(常識に基づいて)考えられることを答えることです。
「その質問については、課題文にはこう書いてあります」「その質問の答えは、課題文にこう書かれているので、こうだと考えられます」と答えることが求められます。応用問題として、課題文に散らばった情報を整理して説明することも求められることもあります。

ストーリーを楽しむ読書では、これらの「問いに答える」練習ができません。読書が国語テスト成績向上につながらないのは、その読書が問いに答える練習を伴っていないからです。一つ一つの表現や、登場人物の心情や動作の理由一つ一つについて立ち止まって考え、時には文章化して答えることなど、ストーリーを追う上では億劫なことです。

国語の成績向上と読書を結び付けるのであれば、文章を読みつつ、その中で様々な疑問を持ち、その疑問を自分で解決しようとしながら読んでいく必要があります。あるいは、様々な質問を受けながら、それらに文章の形で答えていくことも必要です。質問に対しての適切な答え方(「なぜ」に対しては「から」「ので」で答えるなど)や、指示語や接続語などの働きも身に付けなければなりません。
つまり、同じ読書でも、自分なりに「楽しむ読書」モードから、問いを行いながら精読する「学ぶ読書」モードに切り替えることが必要なのです。

「灘式読解力養成講座」では、発問と応答を繰り返し、問いに答える練習を行いながら文章を読む「精読」に取り組んでまいります!

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投稿者

長尾 一毅
長尾 一毅Accompany代表社員
現大阪公立大学大学院修士課程卒。大学・大学院では発達心理学を専攻し、ワーキングメモリ、子どものカテゴリー形成について学ぶ。
奈良・兵庫の教育業界で15年以上、様々な教科を指導し、国語科教科主任も担当。一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会の認定も受け、脳科学の知見やコーチング技術を指導に活かしている。