言いかえる力と選択肢問題

読書と異なり、国語のテストの読解で求められるのは問いに答える力である、という話を前回させていただきました。

国語のテストでは、

  • 問い(聞かれたこと)を把握し、
  • その答にあたる部分を課題文中から探し出し、
  • 「その質問については、課題文にはこう書いてあります」「その質問の答えは、課題文にこう書かれているので、こうだと考えられます」

と答えることが求められます。

その上で、国語のテストにおける選択肢問題というものについてお話させていただきます。

選択肢問題では、本文中の表現の「言いかえ」がなされることが多いということに注意しておかなければなりません。文章は読めている様子だが、問題になると解けないという声もよく聞きます。
選択肢問題では、課題文から問いの答えを探すだけでなく、本文中の表現を言いかえる力、そのための語彙力も求められます。本文の表現と同じ言葉を選択肢の中から探すだけでは、どの選択肢を見ても答えがない、という判断をしてしまうことがあります。

たとえば、文中の答えの材料だと目星を付けた部分には「あっけにとられる」と書かれているのに、選択肢では「驚いた」と書かれていることがあったりします。その場合に、「あっけにとられる、という慣用句が驚きを表す」という語彙知識がなければ、自信をもって正解の選択肢を選ぶことができません。
また別の例として、「努力しなければ成功しない」という本文中の表現が裏返され、選択肢では「努力することで成功への道が開ける」と言い換えられている場合もあるかもしれません。

本文の表現と選択肢の内容がたとえ同じ文言でなかったとしても、二つは同じ内容だと判断する力が、選択肢問題において正解の選択肢を選ぶために必要です。
そのためには、「言いかえる力」と「語彙力」の二つを磨く必要があります。
前回述べた「学ぶモード」の読書で、この表現はわかりやすく言いかえるとどうなるか、辞書をひく前にこの言葉の意味を自分なりにどう説明するか、など立ち止まりつつ考えることでこの「言いかえる力」「語彙力」は伸びていきます。

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投稿者

長尾 一毅
長尾 一毅Accompany代表社員
現大阪公立大学大学院修士課程卒。大学・大学院では発達心理学を専攻し、ワーキングメモリ、子どものカテゴリー形成について学ぶ。
奈良・兵庫の教育業界で15年以上、様々な教科を指導し、国語科教科主任も担当。一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会の認定も受け、脳科学の知見やコーチング技術を指導に活かしている。