小学中学年で鍛えておきたい力

 小学校中学年時にぜひとも鍛えておいていただきたい力は、文章を読み、文章から映像をつくりだす力です。文章を読み、書かれていることをイメージすることで理解が深まります。文章が読める子は、物語文、評論文問わず、文章から状況や場面、図をイメージすることができており、国語の問題でも、情景がきちんととらえられているかを問われることは多くあります。(事実、灘中学校でも、文章の記述をもとに図を描くことを求める問題が出題されたことがあります)。

 文章を読むのが苦手な子は、この映像化が苦手で、結局文章の字面だけを追いつづけ、頭の中に何も残っていないということが生じています。三年生くらいまでの文章であれば難なく読めるのに、それ以上の学年になると文章を読むのが苦手になった、国語の成績が下がったということが起こるのは、この映像化の力が文章に追いついていないために生じていると考えられます。

 灘式・読解力養成講座では、味読の教材として、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を用います。この文章は、情景描写が実に豊富です。しかも、低学年向けの文章のように、情景がパッと思い浮かぶような容易な文章ではなく、映像化のために思考力を必要とします。映像化の力を鍛えるには格好の教材です。文章を落ち着いて読み、そこから情景をイメージする力を鍛えることができるのです。

投稿者

長尾 一毅
長尾 一毅Accompany代表社員
現大阪公立大学大学院修士課程卒。大学・大学院では発達心理学を専攻し、ワーキングメモリ、子どものカテゴリー形成について学ぶ。
奈良・兵庫の教育業界で15年以上、様々な教科を指導し、国語科教科主任も担当。一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会の認定も受け、脳科学の知見やコーチング技術を指導に活かしている。